会社員が実際にフリーランスエンジニアになるまでの流れ

はじめに

昨年 12 月に会社を退職し、今年 1 月から現在に至るまでフリーランスのエンジニアとして活動しております。
会社員からフリーランスになるまでには必要な手続きや準備があります。
これから独立したいと考えている人の参考になれば幸いです。

やったこと

開業準備

人によっては不要な準備もありますが、必要な人もいるので一応書いておきます。

開業準備: 仕事に必要な物の購入

開業日(後述の開業届に記載)まで準備活動のために使用した費用を開業費、もしくは開業準備費といいます。
これらの費用は事業に必要であれば、開業後に経費することは可能です。
しかし、開業費特有のメリットとして 開業年以降で自由に経費計上ができる があります。
例えば、初年度など年の途中などで開業した場合、利益が来年度以降と比較して売上が低い場合、来年度以降に経費計上したほうが節税になる可能性があります。
エンジニアの自分が開業費として計上できそうな物は以下のようなものでした。

  • PC
  • 名刺や印鑑
  • PC デスクや椅子
  • 事務用品(出金伝票、領収書を入れるファイル)
  • 開業に必要な本などの資料代
  • 関係者との飲食費

私の場合は PC などの備品はすでに所持していて購入する必要がなかったため、経費計上したものは上記のうち

  • 事務用品(出金伝票、領収書を入れるファイル)
  • 開業に必要な本などの資料代
  • 関係者との飲食費

になりました。

開業準備: クレジットカードに申し込む

会社員と比較して信用が落ちるため、作りたいクレジットカードがある場合はあらかじめ作っておくことをお勧めします。
一応探した限りでは起業直後でも作成 OK のクレジットカードはあるみたいです。

開業準備: マイナンバーカードの作成

確定申告を e-tax で行う際や、マイナポータルから年金記録・見込み額の確認などを行う際に必要です。
非常に便利なため作成しておくことをお勧めします。

開業準備: 勉強のための書籍購入

フリーランスになるにあたって税金の勉強をしようと以下の書籍を購入しました。
上からおすすめ順に Amazon のアフィリエイトリンクを張っておきます。

開業準備: 確定申告の準備

社会人の場合、基本的には源泉徴収により会社が代わりに税金の計算を行い支払ってくれます。
ただし、個人事業主やフリーランスの方は基本的に 確定申告が必要 です。
確定申告とは 1年間(1/1 ~ 12/31)の所得を税務署に報告して、納める所得税を自分で計算して申告・納税する手続き のことです。
確定申告のざっくりとした流れとしては以下のような感じです。

  • 1/1 ~ 12/31: 帳簿の作成(所得や経費の記帳)
  • 翌年 1/1 ~ : 必要書類の準備・作成
  • 翌年 2/26 ~ 3/15: 必要書類の提出・納税

私の場合、帳簿の作成、必要書類の準備・作成は会計ソフトを利用して自ら行っています。
(ちなみに確定申告書の作成は納税者本人と税理士資格を持った人のみ行えるので、もし代行してもらう場合には税理士に依頼する必要があります。)
確定申告のソフトには以下のようなものが有名です。

実際に私自身の令和 3 年度分の確定申告を やよいの青色申告オンライン で行いました。
いくつか候補がある中で やよいの青色申告オンライン に決めた理由は以下の二つです。

  • クラウド系会計ソフトの中で一番安い
  • インストール型への移行が(おそらく)簡単

会計ソフトで必要書類を作成した後は、所轄税務署に直接または郵便で提出、もしくは、e-Tax から申請します。
e-Tax 経由で申請する場合、青色申告の控除額が最大である 65 万円になるほか、申請手続きをすべて自宅から 24 時間行えます。

開業届

個人事業主になるためには開業届を提出する必要があります。
また、青色申告の控除を受けるため、同時に青色申告承認申請書を提出しました。
開業届けの作成と提出には freee 開業 を利用しました。
freee に会員登録すれば無料で利用することができます。
手続きも非常に簡単で 1 日で終えることができました。

健康保険の変更手続き

退職後の健康保険の代替方法はいろいろあります。

  1. 国民健康保険に加入
  2. 任意継続被保険者制度を利用して継続加入する
  3. 誰かの扶養に入る(被保険者の被扶養者になる)
  4. どこかの勤務先で社会保険に加入する

個人的なおすすめは 2. 任意継続被保険者制度を利用して継続加入する です。
国民健康保険の月額保険料は比較的高く、任意継続被保険者制度を利用して任意継続をした方が安くなるケースが多いようです。
任意継続の条件を満たしているのであれば、国民健康保険の保険料と任意継続をした場合の保険料を比較して決めるとよいと思います。

私が会社員時代に加入していた 関東 IT ソフトウェア 健康保険組合 は、任意継続する場合には以下の条件があります。

任意継続被保険者となるには次の要件をすべて満たしていることが必要です。

  1. 資格喪失日の前日(=退職日)までに 継続して 2 か月以上の被保険者期間 があること
  2. 資格喪失日(退職日の翌日)から 20 日以内 に加入申請をすること
  3. 75 歳未満 であること

任意継続被保険者について | [ITS]関東 IT ソフトウェア健康保険組合

特に、2. 資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内 に加入申請をすること に注意が必要で、退職日の翌日に即加入申請 をしてください。
シミュレーションをした後、国民健康保険に加入したいと後から分かった場合、申請の取消は後からでもできるので。

また、個人的には4. どこかの勤務先で社会保険に加入する も可能ならありです。
社会保険は国民健康保険の完全上位互換で、以下の点で優れています。

  1. 扶養の人数にかかわらず保険料が変わらない
  2. 傷病手当がある

私の友人にはバイトとして勤務しているが、勤務先に交渉して社会保険に加入している人がいます。
正社員じゃないと社会保険に加入できないわけではありません。
ただし、社会保険に加入する場合には条件があるのでここら辺も確認しておくとよいでしょう。

(※2)短時間労働者が被保険者となる一定の要件とは 週の所定労働時間が 20 時間以上であること 雇用期間が 1 年以上見込まれること 賃金の月額が 88,000 円以上であること 学生でないこと

令和 4 年 10 月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

私の場合はちょっと特殊で IT フリーランス協会 を利用しています。
この協会のサービスに社会保険加入支援があり、わたしも理事として加盟しており、社会保険に加入しています。
宣伝ですが、紹介キャンペーンがあり、私と加入者の両方に成約後アマゾンギフト券 5000 円がもらえるらしいです。
もし加入することがあればプロフィール記載の名前を担当者に伝えていただけると私が喜びます。

国民年金の手続き

退職日から 14 日以内に国民年金に切り替え手続きが必要です。
上記の 4. どこかの勤務先で社会保険に加入する の場合は厚生年金に加入しているので切替は不要です。
(退職日から期間が開く場合は一度国民健康保険に切り替える必要がある)

以下の書類を持って各自治体の手続き場所で切り替え手続きをしましょう。

手続きに必要なもの

  • 年金手帳
  • 退職年月日がわかるもの(離職票、退職証明書、健康保険資格喪失証明書など)
  • 本人確認書類(下記、「本人確認について」を参照ください。)

会社等を辞めた方・勤めた方へ(国民年金)|杉並区公式ホームページ

ちなみに私の場合は、退職年月日がわかる書類がどれも 14 日以内に間に合いませんでした。
そのため年金手帳と本人確認書類だけ持参して手続きを行いましたが、問題なく切り替えできました。
(こういった対応は手続き場所によって変わるかもしれません。)

仕事の受注

退職後の仕事は自分で探す必要があります。(当たり前ですが)
私の場合は、以下の 2 通りで仕事を受注しました。

  • Twitter や Facebook などの SNS 経由の依頼 (雇用側の企業と直接交渉)
  • レバテックなどのエージェントを利用 (営業経由で契約条件を交渉)

エージェントを使用する場合は、以下の点を注意すると良いと思います。

  • 希望条件を予めまとめておく
  • 複数社利用して比較する(同じ案件でも単価が異なる場合がある)

もちろん、自分でビジネスを立ち上げるといったこともあると思うので、ここは人それぞれといったところでしょうか。

さいごに

自分がフリーランスのエンジニアになるために準備したことなどをざっくりまとめてみました。
実際に色々やってみましたが、色々手続きはあるものの開業自体には費用はかからないですし、必要な手続きも非常に簡単だと思いました。
もし機会があれば、法人化の手続きに関しても記事を書きたいと考えています。